秀吉＜交響組曲『秀吉』より＞

時は戦国時代。
　己の才覚を頼りに、戦乱の世を駆け抜けた豊臣秀吉。華やかさと儚さに彩られたその生涯が、映画を思わせる壮大な音楽絵巻に。

　吹奏楽界の巨匠・櫛田てつ之扶氏が満を持してお届けする新作は、ずばり秀吉がテーマです。百姓の出でありながら、織田家に仕え頭角を現し、太閤の地位にまで登りつめ、ついには天下人へとのし上がった秀吉。下剋上の世という波乱に満ちた時代を、自らの気概と智謀を武器に生き抜いたその生き様は、現代の私たちにも夢と勇気を与えてくれています。

　全５楽章からなるコンサート・ピース「交響組曲『秀吉』～もうひとつの太閤記」（櫛田てつ之扶 作曲）をまとめあげ、小編成向け、コンクール向けに書き直されたものが本作品です。長年の経験に裏打ちされた独創性あふれる氏の作風は本作品でも存分に発揮されており、演奏効果の高い作品に仕上がっています。全体を通して勇壮な曲調です。颯爽とした秀吉のテーマで幕を開け、物語を語るようにさまざまな場面を通り過ぎていきます。短い緩叙な経句を挟んで、勇猛な戦の場へと移ります。栄えあるものもいつかは滅び、夢の果てにたどり着く時がきます。フルートの旋律が印象的な余韻を残して、激動の人生に終止符を打ちます。