大江戸らぷそでぃ

葛飾北斎や歌川広重などの絵画に見られる江戸の賑わいを表した、活気みなぎる作品。いきでいなせな江戸の下町風情に思いを寄せています。祭のお囃子のような調子で幕を開けると、次第に微妙な音律の変化、リズムの変化が生まれ、色彩が豊かに広がっていきます。

　“メインテーマは、2つのスケールを合わせた少しぎこちないハーモニー感に支えられていますが、これも江戸っ子ゆえの気質。たとえば「褒めたいのに貶し言葉」「見栄っ張りなのに人情家」などという、愉快な矛盾がその人達の滑稽で愛されるキャラクターである、ということに由来しています。”（福田洋介）との言葉にあるように、相反する2つのもの、矛盾に見出される親しみのある愛着が、この曲の根幹的なテーマとなっています。例えば、日本の伝統音楽と、西洋音楽の融合。規律と調和を重んじるバンド・アンサンブルの形態なのに、即興的な音楽性。西洋の言葉なのに、ひらがなを使った表題の「らぷそでぃ」。端々にさり気ない作曲者の主張が見え隠れします。しかしながら、難しい事はさておき、吹奏楽を通して日本の伝統音楽を気軽に親しんで欲しいといったところが、作曲者の一番の意図かもしれません。